✨ Connectivity Standards Alliance 公式仕様 v1.0

Aliro とは?

スマホが「デジタルの鍵」になる——
MatterのCSAが策定した、次世代アクセス規格のすべて

🔑 デジタル鍵 📱 NFC / Bluetooth / UWB 🏠 ホーム・ホテル・オフィス 🔒 高セキュリティ 🚗 自動車はスコープ外(CCC担当)
📋 このページの内容
  1. Aliroって何? 一言で言うと
  2. 登場人物(エコシステムの構成)
  3. スマホをかざしたとき、何が起きているの?
  4. 通信手段は3つある
  5. UWBとは? ハンズフリーを安全に実現する技術
  6. MatterとAliroの関係
  7. Aliroの対象範囲と自動車(CCC)との棲み分け
  8. よくある疑問にお答えします
  9. まとめ

Aliroって何? 一言で言うと

Aliro(アリロ)は、スマートフォンや時計を「デジタルの鍵」として使うための国際標準規格です。

Matterと同じくCSA(Connectivity Standards Alliance)が策定しており、2026年2月にバージョン1.0が正式リリースされました。

自宅の玄関・ホテルの部屋・会社のオフィス——どこでも同じ仕組みで、スマホをかざすだけで扉が開く世界を目指しています。

💡 ポイント:「Apple WalletやGoogle Walletに鍵を入れる」のに使われる技術がAliroです。メーカーが違っても同じドアロックで使える互換性が最大の特徴です。
🌍
どんなメーカーでも使える
Apple / Google / Samsung、そしてドアロックのメーカーが違っても、Aliro対応であれば相互に動作します。
🔐
高いセキュリティ
暗号化と電子署名でなりすましを防止。物理カードよりも安全に設計されています。
素早い認証
「Expedited Phase(迅速フェーズ)」により、NFCなら一瞬で認証完了。快適な通過体験を実現します。
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登場人物(エコシステムの構成)

Aliroには4つの役割が登場します。それぞれの関係を理解すると、仕組み全体がスッキリします。

📱
ユーザーデバイス
User Device
スマホ・スマートウォッチなど。鍵(アクセス資格情報)を保持する端末
🚪
リーダー
Reader
ドアに設置されたスキャナー。スマホの情報を読み取り、開錠を判断する
🛡️
アクセスマネージャー
Access Manager
「この人は入っていいか」を判断するシステム。リーダーに内蔵されることも
▲ スマホに「鍵のデータ」を発行・署名する
🏢
クレデンシャル発行者
Credential Issuer
Apple / Google / Samsungなど
🔍 わかりやすく言うと:「クレデンシャル発行者(Apple等)」がスマホに鍵データを書き込み、「リーダー(ドアのスキャナー)」がその鍵を読んで、「アクセスマネージャー(許可リスト)」が開錠を決める、という流れです。
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スマホをかざしたとき、何が起きているの?

"proving your identity." Like a national ID card, your phone proves your identity to the door, and the door checks it against an access list before unlocking.">鍵を「出す」というより、「自分のIDを証明する」イメージです。マイナンバーカードに近い仕組みで、スマホはドアに自分の身元を証明し、ドア側が「許可リスト」と照合して開錠を決めます。

🔄 認証フローの概要(NFCの場合)
📱 スマホ(ユーザーデバイス)
通信
🚪 ドアのリーダー
⚡ Expedited Phase(迅速フェーズ)
「どのドアへのアクセスか」を確認
暗号の証明(cryptogram)を送信
✅ 認証完了 or 次フェーズへ
← リーダーID送信
認証データ →
← 結果通知
⚡ Expedited Phase(迅速フェーズ)
reader_identifier(ID)を提示
暗号証明を検証
✅ 開錠 or Step-upへ
🔍 Step-up Phase(詳細確認・初回のみ等)
アクセスドキュメントを送信
(有効期限・権限情報など)
文書送信 →
🔍 Step-up Phase(詳細確認・初回のみ等)
内容を検証して
最終的な開錠判断
💡
複数の鍵をどう出し分ける?
スマホ側は「1つの固有ID」を持ち、ドアのリーダーが自分のIDを先に提示します。スマホはそのリーダーIDを見て「このドアには見せていいID」を選んで提示します。複数の鍵を「出し分ける」というより、リーダーに応じて自動で対応する仕組みです。
🔑
「鍵を持ち歩く」→「IDを証明する」
従来:「A家の鍵・B社の鍵という"物"が入っている」
Aliro:「自分のIDをリーダーに提示 → リーダー側の許可リストで照合」
マイナンバーカードや免許証に近い概念です。
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通信手段は3つある

Aliroは場面に応じて3つの通信方式をサポートしています。それぞれに得意なことがあります。

通信方式の比較
📱
スマホ
User Device
📶 NFC
かざす(10cm以内)
🚪
NFCリーダー
Reader
📱
スマホ
User Device
🔵 Bluetooth LE
数メートル以内に近づく
🚪
BLEリーダー
Reader
📱
スマホ
User Device
🔵+📍 BLE + UWB
ハンズフリー(近づくだけ)
🚪
UWB対応リーダー
Reader
📶 NFC

かざす方式

スマホを10cm以内にかざして認証。最も普及していてシンプル。エクスプレスモード(スリープのままかざせる)と組み合わせて快適に使える。

🔵 Bluetooth LE

近づく方式

数メートル以内に近づくと認証が始まる。かざさなくてOKだが、UWBなしでは位置精度が低く、セキュリティ面でBLE単体は限定的。

📍 BLE + UWB

ハンズフリー方式

BLEで通信しながら、UWBでセンチ単位の位置測定。「ドア正面1m以内」を正確に判定し、スマホをポケットに入れたままドアが開く本当のハンズフリー。

📱 Apple WalletのエクスプレスモードとAliroの関係: Aliro仕様書のExpedited Phase(迅速フェーズ)が、Apple等のエクスプレスモードと組み合わさることで、スリープ画面のままかざすだけで解錠できるUXを実現しています。
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UWBとは? ハンズフリーを安全に実現する技術

📱
cm
単位の位置精度
360°
方向も検知
なりすまし困難

💡 なぜUWBが必要?

Bluetoothだけでは距離の測定が不正確です。「家の中にスマホがあるのに、外の車の鍵が開いてしまう」などのリレーアタック(中継攻撃)が起きる可能性があります。

UWBはパルス波の飛行時間を計測し、センチメートル単位で「正面1m以内にいる」を正確に判定できます。

🛡️ リレーアタックって何?

悪意ある人が電波を中継する装置を使い、「実際には遠くにあるスマホの信号」を「すぐそこにあるように偽装」する攻撃です。

UWBは電波の飛行時間を正確に測るため、距離の偽装が非常に困難。これがハンズフリー解錠を安全に実現できる理由です。

⚠️ ハンズフリー解錠にはUWBチップ搭載端末が必要です。iPhoneはiPhone 11以降の主要モデルに搭載されています。Androidは各メーカー・機種によって異なり、今後対応端末が増えていく見込みです。NFC/Bluetoothでの「かざす・近づく」解錠はUWB非搭載端末でも利用できます。
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MatterとAliroの関係

どちらもCSAが策定したスマートホーム規格ですが、「何と何をつなぐか」の役割が異なります

🔗 役割の違いを図で見る
Aliro の役割
🧑
ユーザー
📱
スマホ
📡
🚪
ドアのリーダー
NFC / BLE / UWBで直接通信
スマホをかざす・近づくだけで
物理的に鍵を開閉する
Matter の役割
📱
スマホ/音声
🌐
ネット/ハブ経由
🔒
スマートロック
Wi-Fi / Threadを経由したネットワーク通信
遠隔操作・状態確認・自動化など
IoT機器としての制御
Matter Aliro
何をつなぐ? スマートスピーカー/ハブ ⇄ 家電・鍵 スマホ ⇄ ドアのリーダー(鍵)
主なシーン 遠隔操作・状態確認・自動化 スマホをかざして/近づいて解錠
ネットワーク Wi-Fi / Thread(ハブ経由) NFC / Bluetooth LE / UWB(直接通信)
鍵の役割 IoT機器として管理・状態共有・遠隔操作 近接でリーダーと認証して物理開錠
Aliroとの連携 リーダーの設定・ユーザー鍵の発行と管理 (認証プロトコル側・設定はMatterに委任)
🏠
実際の使い分けイメージ(例:スマートロック)
🔑 Aliro:子どもが外からスマホをかざして自分で帰宅・解錠。スマホ1台で鍵いらず。
📱 Matter:その開閉の状態が家族のスマホに通知され、「子どもが帰ってきた」と確認できる。また、親戚が来たときはアプリからリモートで開錠することも可能。

💡 ポイント:Aliroはあくまでスマホとドアのリーダーが直接・近接でやり取りする仕組みです。離れた場所からの開け閉めはMatterの役割です。両方に対応したスマートロックなら、このすべてが1台で実現できます。
🔧
MatterによるAliroの「管理」:Access Managerの設定もMatterで
多くの住宅向けスマートロックでは、Access Manager(アクセス権限を判断するシステム)がリーダー(ドアのスキャナー)に内蔵されています。

この場合、Access Managerの設定——つまり「誰のスマホに鍵を発行するか」「鍵を無効にする」「リーダー自体の暗号鍵を設定する」といった管理操作を、Matterプロトコル経由で行えます。

Matter仕様のDoor Lock Clusterに以下のAliro専用機能が定義されています:
  • SetAliroReaderConfig:リーダーの暗号鍵やグループIDを設定する
  • ClearAliroReaderConfig:リーダー設定をクリアする(全ユーザーの鍵が無効になる)
  • SetCredential / ClearCredential:ユーザーのAliroクレデンシャル(鍵データ)を追加・削除する
つまり、AliroとMatterの役割は次のように分担されています:
  • Aliro:スマホ↔リーダーの「認証」を担当(かざす瞬間の暗号通信)
  • Matter:リーダー内Access Managerの「設定・管理」を担当(ネットワーク経由)
この分業により、「認証(鍵の証明)」と「管理(誰に鍵を渡すか)」の両方がスマートに完結するシステムが実現します。
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Aliroの対象範囲と自動車(CCC)との棲み分け

Aliroはスマートホームだけを対象にしているわけではありません。また、「デジタルキー=自動車の鍵」とイメージする方もいるかもしれませんが、自動車はAliroのスコープ外です。

✅ Aliroの対象

🏢 建物のアクセス管理

Aliroが担うのは、住宅・オフィス・ホテル・大学キャンパス・医療施設・ジムなど「建物への入退室管理」です。

B2C(個人向け)だけでなく、B2B(法人向け)の商業施設まで対象範囲に含めた設計になっています。カードリーダー式のシステムも置き換えを想定しています。

🚗 自動車は別規格

🚗 自動車:CCC Digital Key

自動車のデジタルキーは、Car Connectivity Consortium(CCC)が「Digital Key」仕様として別途策定しています。

BMW・General Motors・Honda・Hyundai・Volkswagenなどの自動車メーカーと、Apple・Google・Samsungも参画しています。

🗺️ 棲み分けのイメージ:建物の入退室管理は Aliro(CSA)、自動車のアクセス管理は CCC Digital Key。両者が普及すれば、スマホ1台で自宅・オフィス・ホテル・そして車まで、あらゆる「鍵」をまとめて管理できる未来が現実味を帯びてきます。
🔮
「鍵を持たない近未来」へ
AliroとCCC Digital Keyの両方が普及すれば、財布の中の鍵束・カードキー・社員証・ホテルカード・車の鍵——これらすべてがスマホに集約されます。紛失しても遠隔で即時無効化でき、時限キーの発行や入退室ログの管理もデジタルで完結。アクセスが「生活インフラ」になる日は近づいています。
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よくある疑問にお答えします

Q
AndroidでGoogle WalletとSamsung Walletを両方使っている場合、どちらが使われる?
Q
Apple Walletの「エクスプレスモード」(スリープのままかざせる機能)はAliroに対応している?
Q
スマホをかざしたとき、交通系ICと鍵が混同して変なことにならない?
Q
自宅と職場、ホテルなど複数の鍵をどう出し分けるの?
Q
鍵を紛失(スマホを盗まれた・紛失した)したらどうなる?
Q
Aliroに対応しているスマートロックは日本でも買える?
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まとめ

🔑 Aliroが描く未来のアクセス体験

「どのカードを出そうか」と悩む必要はなくなります。
「自分のスマホ(または自分自身というアイデンティティ)を持ち歩くだけで、許可されている場所ならどこでも、かざすか近づくだけで自動的に扉が開く」——それがAliroが目指す世界です。

Aliroでできること・できつつあること
・自宅の玄関をスマホで解錠(NFC / UWB)
・ホテルのチェックインキーをApple Walletに
・会社のセキュリティドアを近づくだけで通過
・鍵の有効期限・時間帯制限をデジタルで管理
・紛失時はアプリからリモートで即時無効化
※ 自動車のデジタルキーはCCC Digital Keyが担当
📋
Aliroのここが画期的
メーカー横断の互換性(Apple・Google・Samsung対応の鍵が同じドアで使える)
物理カードより安全(暗号署名・失効機能・生体認証連携)
UWBによる完全ハンズフリー(リレーアタック耐性)
CSA(Matterと同じ団体)が策定した公式規格

📄 参照仕様書:Aliro Specification v1.0(CSA)
Connectivity Standards Alliance・2026年2月18日発行
解説ページ作成:Matter 1.5 辞書 by ライフテックコーディネーター 織田未来

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