よく聞かれる質問から
テクノロジー業界向けの展示会や商談の場で、よく聞かれる質問です。短く答えてから、下の節で詳しく説明します。
→ 会員ランクと、製品の出し方
「認証」は3種類あって、別物
| 誰が | 何を確かめる | 要るか | |
|---|---|---|---|
| Matter認証 | CSA | Matterの仕様どおりに作られているか | 「Matter」と名乗って売るなら必要 |
| Works with ○○ | Google・Apple・Amazon・Samsung | そのアプリで実際にちゃんと動くか | 任意(バッジを付けたい場合) |
| 電波の認証(日本なら技適) | 国(総務省) | 電波法を守っているか | 日本で電波を出すなら原則必要。試作でも |
Matter認証と技適の関係を公式に説明した資料は見当たらないため、ここでは「別の制度」とだけ書いています。CSAには製品のセキュリティの認証(Product Security)もありますが、このページでは扱いません。
認証なしで作れる?
作って、手元で試すことはできます。
- Matterの開発キット(SDK)はオープンソースで、ライセンスはApache 2.0。研究や試作に使えます。
- CSAは、試作・開発のためのメーカーID(
0xFFF1〜0xFFF4)と、テスト用の証明書の作り方を用意しています。仕様書も、メーカーやホビイストの試験・開発のためのものだと書いています。 - ただし、販売するなら認証が要ります。Appleは、Matterアクセサリーを配布・販売するならCSAの認証を受けるよう案内しています。Googleは、一般の利用者向けの製品にはCSAの認証が要り、テスト用IDは使えないとしています。
ADVANCED各社アプリでの試し方
| 試し方 | 制限・表示 | |
|---|---|---|
| Google Home | 開発者コンソールでプロジェクトを作り、テスト用IDを登録してQRコードで追加 | テスト用IDで試せるのは、基本の登録・操作まで。製品の試験・フィールドテスト・ファームウェア更新の段階では使えない |
| Apple Home | Homeアプリで追加すると、認証されていないアクセサリーだという表示が出る(英語の原文はuncertified accessory)。そのまま追加を選べば追加できる(原文はAdd Anyway) | ファームウェア更新の試験には、テスト用の台帳(TestNet DCL)を使う |
| Amazon Alexa | 開発者アカウントのAlexaアプリで「デバイスを追加 → その他 → Matter」 | Matterに対応していない機器だという警告が出て、続けるかを聞かれる(英語の原文はThis device isn't Matter compatible) |
| SmartThings | 公開サンプルで、「仮想のMatter機器」をスマホに作って試せる | 実機でのテスト用IDの扱いは、公開資料に記載なし |
AppleとAmazonの手順は、それぞれファームウェア更新の試験・照明のサンプル機についての説明で、どんな試作機でも同じとは限りません。
警告が出るのはなぜ?
仕様書が、テスト用IDの機器は、利用者が危険を分かっている場合を除いて、ふだんの家のネットワークに登録すべきでない、としているためです。
日本で試作機の電波を出すとき(技適)
- 日本で電波を出すには、原則として技適が要ります。技適の付いた無線モジュールを組み込んだ製品なら、同じ表示を付けられます。
- 技適の無い試作機は、「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」(いわゆる180日ルール)が使えます。総務省のWebで届け出れば、届け出の日から180日以内なら国内で実験に使えます。法人・個人のどちらでも届け出られ、手数料はかかりません。同じ規格・同じ目的での延長はできません。
- 特例の対象表には、無線LANの2.4GHz帯・5GHz帯と6GHz帯(制限付き)、Bluetoothなどが並んでいます。Matterで使うWi-Fi(2.4GHz帯)・Bluetooth LE・Thread(IEEE 802.15.4)は、どれも特例の対象規格に入っています。ただし規格の名前だけで使えるわけではなく、機器ごとに、相当する基準に合っていることを確かめて届け出ます。
- もっと長く実験するなら、実験試験局の免許(5年。再免許もできる)を取るか、技適を取ります。
2026年3月時点の総務省の資料にもとづきます。この資料は制度の見直しを検討する会議に出されたもので、制度が変わる可能性があります。
ADVANCEDThreadが対象と言える根拠
特例の対象となる規格は、総務省の告示で決められています(令和元年総務省告示第263号。最終改正は令和5年12月22日施行)。その第四項に「IEEE802.15.4」があります。告示が指定しているのは規格のIEEE 802.15.4で、Threadという名前は出てきません。ThreadはIEEE 802.15.4の電波を使うので、この項に当たります。Bluetoothは「Core Specification Version 2.1以降」です。
認証を取るまでの流れ
- CSAに入会する
- メーカーID(VID)などを用意する
- 使う通信方式を決め、その方式に要る認証を確かめる
- 認定試験所(ATL)を選ぶ
- 日程を決め、試作機と「何を実装したか」の申告書(PICS)を出して試験を受ける
- CSAの申請ツールで申請する
- CSAの審査を受ける(追加の資料を求められることもある)
- 認証書が出る。Matterの場合は、認証の証明(CD)とDCLへの登録も付く
期間:決まった標準の日数は示されていません。試験所の試験期間と、審査の中身によります。申請の手引きと申告書のひな形は会員向けのページにあるため、ここでは細かい手順は書いていません。
会員ランクと、製品の出し方
| ランク | 年会費 | 自社で開発した製品の認証 | 自社の派生製品 | 他社の認証済み製品を自社ブランドで出す(CTP) |
|---|---|---|---|---|
| Promoter | 112,500ドル(+入会金。金額は記載なし) | ○(2,000ドル/製品) | 1,500ドル/製品 | 受けられる(1,500ドル/製品)。出す側にもなれる |
| Participant | 21,500ドル | ○(2,000ドル/製品) | 1,500ドル/製品 | 受けられる(1,500ドル/製品)。出す側にもなれる |
| Adopter | 7,500ドル | ○(3,000ドル/製品) | 2,500ドル/製品 | 受けられる(2,500ドル/製品) |
| Associate | 0ドル | 記載なし(会員特典に含まれていない) | 記載なし | 受けられる(2,500ドル/製品+毎年500ドル/製品) |
金額は、2026年10月時点のCSA公式サイトの掲載額です(米ドル。税の扱いは記載なし)。試験所の試験費用は含みません。詳しくはこちら(CSAの会員ページ)
読み方
- 自社で開発して認証を取るなら、Adopter以上
- 年会費0のAssociateは、他社の認証済み製品をブランドを変えて出す(ホワイトラベル)ための入口
- ホワイトラベルの元になれる(他社に製品を提供する側)のは、ParticipantとPromoterだけ
- ホワイトラベル(CTP)で変えてよいのは、包装・筐体・画面の見た目とブランドだけ。機能は変えてはいけません。例として、筐体の色・ロゴ・起動画面が挙がっています。OEM・ODMといった契約の名前で決まるのではなく、機能を変えていないかで決まります。
試験の費用と、日本の試験所
CSAの認定試験所の一覧で、日本の拠点と明記されているのは次の2つです。どちらも、CSAの日本支部(Japan Interest Group)の創設メンバーです。
- Allion (Japan)(アリオン)― 東京都品川区
- TÜV Rheinland Japan(テュフ ラインランド ジャパン)― 横浜市都筑区
一覧で国名が日本と書かれているものだけを挙げています。海外の試験所の日本の窓口は含みません。また、一覧にはどの試験所がMatterの試験をできるかは書かれていません。→ CSAの試験所一覧/日本支部の設立のお知らせ
各社のバッジの試験は、CSAのラボに集まる方向
CSAは米国オレゴン州ポートランドに、相互運用テストラボ(Interop Test Lab)を持っています。CSAの職員が、各社のハブやアプリと組み合わせて、実際に動くかを試します。仕様どおりかを見る認証試験とは別のものです。
| バッジ | CSAのラボの結果の使い方(2026年10月時点) |
|---|---|
| Works with Google Home | 段階的にCSAのラボの結果へ移行中で、最終段階ではCSAのラボの結果だけになる。2026年からはすべてのMatter統合でAllianceの相互運用試験が必要、と告知している(各段階の日付は書かれていない) |
| Works with SmartThings | CSAのラボに出したMatter機器は、SmartThingsの試験も自動で、無料で受けられる(2025年11月のリリースノートで告知) |
| Works with Apple Home | バッジの条件が「CSAのMatter認証」と「CSAの相互運用試験」 |
| Works with Alexa | CSAのラボの追加サービスとして受けられる。CSAへの申し込みのときに、Alexaの認定も希望すると書く必要がある |
更新やシリーズ品の認証を軽くする制度
同じ製品のソフト更新や、シリーズ品をまとめて認証するための制度もあります。
ADVANCED同じ製品の更新や、シリーズ品は?
- FastTrack Recertification:認証済みのMatter製品のソフト更新のとき、訓練を受けた会員が自社で試験し、CSAのラボに2台出して再認証する制度(2025年1月発表)。使えるのは、訓練を受けたParticipantとPromoter(CSAが案内している解説FAQより)。
- Portfolio Certification:元になる製品をもとに、複数の製品を1回の申請でまとめて認証する制度。MatterとZigbeeが対象。どのランクが使えるか、料金はいくらかは示されていません。
- このほか、似た製品の認証(Certification by Similarity)、製品ファミリーの認証という制度もあります。
出典:CSA公式サイト(会員・認証・試験所・ニュース)、Google・Apple・Amazon・Samsungの開発者向けページ、総務省の資料と告示。金額や各社の方針は変わることがあるため、最新の情報は各公式ページで確かめてください。
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