Matterって何? 一言で言うと
Matter(マター)は、スマートホームデバイスがメーカーを超えて互いにつながるための「共通言語(プロトコル)」です。
日本語しか話せない人と英語しか話せない人は会話できません。でも「共通の言語」があれば話せます。Matterはスマートホームデバイスにとっての「共通言語」です。AppleのHomePodも、GoogleのNest HubもAmazonのEchoも、Matter対応であれば同じ言葉でデバイスに命令できます。
Matterが決めているのは、やりとりの中身と、その守り方です。機器の種類(デバイスタイプ)、機能の単位(クラスター)、「明かりをつけて」という命令の形、暗号化、登録の手順。電波そのものはMatterの外にあり、Wi-Fi・Thread・イーサネットに任せています。その間は、インターネットと同じ住所の仕組み(IPv6)でつなぎます。OSI参照モデルでいうと、上のほう(第5〜7層あたり)の規格です。
ADVANCEDOSI参照モデルとMatterの層
OSI参照モデルって?
通信の仕組みを7つの段に分けて考えるための物差しです。下の段ほど「電波や電線」、上の段ほど「やりとりの中身」。手紙にたとえると、ざっくり次のようになります。
| 段 | OSIの名前 | 手紙でいうと |
|---|---|---|
| 7〜5 | アプリケーション・プレゼンテーション・セッション | 手紙の中身と書き方。何語で、どんな決まりで書くか。封をして、本人だけが読めるようにする |
| 4 | トランスポート | 届いたかどうかの確認。書留にするかどうか |
| 3 | ネットワーク | 宛先の住所。どの道順で届けるか |
| 2〜1 | データリンク・物理 | 郵便車が走る道路。電波、電線 |
Matterの層(Zigbeeと比べて)
| OSI | Matter | Zigbee(比較) |
|---|---|---|
| 7〜5 | Matterが決める:データモデル(デバイスタイプ・クラスター)/やりとりの型(読む・書く・命令・通知)/暗号化と認証(PASE・CASE)/メッセージの形 | Zigbeeが決める:アプリの枠組みとZigbee Cluster Library |
| 4 | UDP(+Matterの再送の仕組みMRP)またはTCP | (Zigbeeの中で完結) |
| 3 | IPv6(Threadの場合はThreadが担う) | Zigbeeが決める:Zigbeeのネットワーク層 |
| 2〜1 | Wi-Fi/Thread(IEEE 802.15.4)/イーサネット | IEEE 802.15.4 |
層の境目は目安です。たとえばMRPはUDPに足した再送の仕組みで、第4層のような働きもします。Thread自体の中の層の分け方は省いています。
Zigbeeは上から下まで1つの規格で、いわば「縦に1本」。Matterは上だけを決めて、下はIPv6が通るものを選ぶ「上だけ」の規格です。
ThreadとZigbeeは、同じ電波を使っています(どちらもIEEE 802.15.4、2.4GHz)。違うのはその上の段です。ThreadはIPv6を載せられるので、Matterがそのまま乗ります。
新しい機器を登録するときだけは、BLE、Wi-FiのPAF、NFC、Threadの登録用の仕組みといった別の通り道も使います。登録が終わったら、ふだんの通信はIPv6のWi-Fi・Thread・イーサネットだけで行います。
根拠
CSAの仕様書(Core 1.6)は冒頭で、MatterをIPの上で動く、スマートホーム機器のためのアプリケーション層の解決策と位置づけています。Googleの開発者向けの解説(What is Matter?)も、Matterの中核はOSIの上の3層に収まるので、IPv6の通信ならどれの上でも動く、と説明しています。
CSA(Connectivity Standards Alliance)— Apple・Google・Amazon・Samsungなど、多くの企業が参加する標準化団体が策定しており、2022年に初版がリリース。2026年6月にバージョン1.6が公開されました。
ADVANCEDCSAとMatterの歩み
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2002年10月 | Zigbee Alliance設立。安くて電池が長持ちする無線で、センサーや機器の制御をするための標準づくりから始まった |
| 2017年1月 | CES 2017でDotdotを発表。Zigbeeの「言葉」を、Threadなど別のネットワークの上でも使えるようにする試み(→クラスターの節のコラム) |
| 2019年12月 | Amazon・Apple・Google・Zigbee Allianceが「Project Connected Home over IP(CHIP)」を発表。IPの上にロイヤリティフリーの共通規格を作る取り組みで、既存のZigbee 3.0/PROとは別のもの |
| 2021年5月 | Zigbee AllianceがConnectivity Standards Alliance(CSA)に改称。CHIPは「Matter」と名付けられた。Zigbeeの開発とブランドは続けると表明 |
| 2022年10月 | Matter 1.0の仕様公開と認証プログラムの開始 |
| 2026年6月 | Matter 1.6 |
改称の理由:CSA自身が20周年の記事で、1つの技術の名前では団体の活動を表しきれなくなった、特にCHIPが急に進んだことが大きかった、と振り返っています。
Matterの言葉は、複数の系譜から来ている:仕様書の冒頭には、Matter・HomeKit・Weave(Google)・Thread・Zigbeeの用語の対応表があります。創設メンバーが既存の技術を持ち寄る、というCHIP発表時の方針とも合っています。
Threadを決めているのはCSAではありません。Thread Groupという別の団体です。
小ネタ:オープンソースのSDKは、いまもGitHubでproject-chip/connectedhomeipという名前です。
出典:CSA「The Alliance Celebrates 15 Years」「Two perspectives on two decades」「Dotdot(CES 2017)」/Amazon「Project Connected Home over IP」/Security Sales「改称とMatterの命名」/CEPro「Matter 1.0」
Matterの全体構造
Matterは「入れ子構造」で成り立っています。大きい概念から小さい概念の順番で理解すると整理しやすいです。
デバイスタイプは「このエンドポイントはどんな機器か」を定義する"レッテル"のようなもの。「Dimmable Light(調光ライト)なら On/Off と Level Control クラスターが必須」という資格要件を決めています。
デバイスタイプとは?
「この機器はMatter的にどんな種類か」を定義するラベルです。デバイスタイプによって「必ず持つべき機能(必須クラスター)」が決まります。
| 分類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| Simple | 単一機能のシンプルなデバイス | On/Off Light、開閉センサー |
| Composed | 複数のエンドポイントを持つ複合デバイス | 冷蔵庫(冷蔵室+冷凍室)、クックトップ(複数バーナー) |
| Utility | インフラ系・制御用の特殊なデバイス | ブリッジ、ハブ、OTA配信サーバー |
クラスターとは?
デバイスが持つ「機能のかたまり」がクラスターです。スマートホームのあらゆる機能はクラスターとして定義されています。
💡 たとえ話で理解するクラスター
スマート電球を「スタッフのいるお店」に例えると——
「On/Off クラスター」は「開店・閉店を管理するスタッフ」
「Level Control クラスター」は「照明の明るさを調整するスタッフ」
「Color Control クラスター」は「ライトの色を管理するスタッフ」
1つの電球がこれら複数の「スタッフ(クラスター)」を持っています。
| カテゴリ | 主なクラスター | 何をするか |
|---|---|---|
| 汎用 | On/Off、Level Control、Operational State | ON/OFF・明るさ・動作状態など基本制御 |
| 計測・センシング | Temperature Measurement、Occupancy Sensing | 温度・湿度・人感・照度などの計測 |
| 照明 | Color Control、Ballast Configuration | 色温度・RGB色制御 |
| 空調(HVAC) | Thermostat、Fan Control | 温度設定・ファン制御 |
| 玄関・窓・扉 | Door Lock、Window Covering、Closure Control | 施錠・ブラインド・クロージャー制御 |
| 家電 | Laundry Washer Mode、Microwave Oven Control | 洗濯機・電子レンジなどの家電制御 |
| エネルギー管理 | Device Energy Management、Energy EVSE | EV充電・給湯器・太陽光連携 |
| メディア | Media Playback、Content Launcher | 動画再生・コンテンツ起動 |
| カメラ | Camera AV Stream Management、WebRTC Transport | 映像配信・WebRTCストリーミング |
COLUMNMatterの「言葉」はZigbeeから来ている
「クラスター」「アトリビュート」「コマンド」という考え方は、もともとZigbeeの共通辞書(Zigbee Cluster Library、ZCL)にあったものです。CSA(旧Zigbee Alliance)はこの辞書を電波から切り離してIPの上に載せ、そこから独自に育てました。仕様書も、データモデルの出発点として「Dotdotの構成とZigbee Cluster Library」を挙げたうえで、Matterの形はそこから分かれたものだと書いています。各クラスターの改訂履歴にも、Zigbee向けの要素を取り除いた記録が残っています。
データモデルの文書は、Dotdotから続いている
仕様書のデータモデルの章の改訂履歴では、改訂12〜15が「Dotdot Architecture Model」として公開され、改訂16がMatterのデータモデルの最初の版です。Matterの改訂1は、この改訂16と同じものとして扱われています。つまり、Matterのクラスターやアトリビュートの考え方は、Dotdotの文書を引き継いで育ってきました。ただし、Matterそのものが「Dotdotの改名」というわけではありません。Dotdotから続いているのは、データモデルの部分です。
クラスターの中身(4つの要素)
各クラスターは4種類の要素で構成されています。
例:「現在の明るさ = 80%」
「現在の温度 = 24℃」
例:「Toggle(ON/OFFを切替)」
「MoveToLevel(指定の明るさに)」
例:「温度が閾値を超えた」
「ドアが開いた」
例:「Lighting機能あり
(調光カーブ対応)」
同じクラスターでも製品によってサポートする機能が異なります。フィーチャーがあることで「この製品はどこまで対応しているか」がアプリ側に正確に伝わり、UIが自動的に最適化されます。例えば「調光カーブ(Lighting フィーチャー)」対応の電球は、Apple Homeの「適応照明」機能が使えるようになります。
スーパーセット(継承関係)
照明デバイスタイプには「親子関係(スーパーセット)」があります。上位の機器は下位の機器として「も」動作できます。
🍎 Apple Homeの「適応照明」:Color Temperature Light以上に対応しています。電球を買うときに「色温度対応かどうか」をチェックするのはそのためです。
セマンティックタグとは?
デバイスのエンドポイントに「意味的なラベル」を貼る仕組みです。アプリがデバイスの「場所」や「種類」を正確に理解できるようになります。
🏷 タグがないと何が困るか
タグがないと、スマートホームアプリは照明を「ダウンライト1、ダウンライト2…」と番号で並べるしかありません。どれがリビングのどの照明かを自動で判断できないのです。
セマンティックタグがあれば:
「リビング(LivingRoom)のソファの上(Sofa × Above)にあるライト」という情報をアプリが自動で読み取り、最適なUIを生成できます。
| ネームスペース | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| Common Area | 部屋・場所の種類 | LivingRoom、Bedroom、Kitchen、Bathroom…全50種類以上 |
| Common Landmark | 家具・目印 | Bed、Sofa、Desk、Window、Door… |
| Common Position | 上下左右 | Above、Below、Left、Right、Front、Back |
| Closure | クロージャー(窓・扉)の詳細種別 | Blind、Curtain、Shutter、Door、Gate… |
| Switches | スイッチボタンの動作 | On、Off、Toggle、DimUp、DimDown… |
通信の仕組み
Matterは電波の部分を自分で決めていないので、通信方式はメーカーが機器に合わせて選べます。いつも電源がある機器はWi-Fi、電池で動くセンサーはThread、という具合です。多くの機器は通信方式が製品ごとに決まっていて、利用者が後から切り替えるものではありません。
Zigbeeは電波まで含めて1つの規格なので、Zigbeeの機器をつなぐにはZigbeeのハブが要ります。Matterは家のWi-FiやThreadのネットワークにそのまま入ります(Threadの場合はボーダールーターが要ります → 3つの役割)。
速くて遠くまで届く
速度が速く家中に届く。ただし電池消耗が多いため、常時電源が取れる機器に向く。スマートプラグ・カメラ・スマートTVなど。
電池持ちに優れたメッシュ網
電池が何年も持つ低消費電力設計。デバイス同士がメッシュを形成し、互いに通信をリレーする。スマホや家のWi-Fiとつなぐにはボーダールーターが要る。センサー・スイッチ・スマートロックに最適。
最も安定した有線接続
有線なので最も安定。固定設置のハブやルーター内蔵機器に使われる。無線の不安定さがゼロ。
ThreadはIPv6ベースのメッシュ型無線通信規格です。デバイス同士が助け合って通信をリレーし、どれかが壊れても別ルートで自己修復します。省電力設計なのでバッテリーが何年も持ち、センサー・スイッチ・スマートロックに最適。Aqara・IKEA・NanoleafなどのThread対応デバイスが増えています。
📊 通信方式の比較
| 方式 | 速度 | 省電力 | メッシュ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 📶 Wi-Fi | ◎ | △ | — | スマートプラグ・カメラ・TV |
| 🕸 Thread | ○ | ◎ | ◎ | センサー・スイッチ・ロック |
| 🔌 Ethernet | ◎ | ○ | — | ハブ・ルーター・固定設置 |
🏠 HRAP(Home Router & Access Point)構想:Matter 1.4から、家庭用Wi-FiルーターにThreadボーダールーター機能を標準搭載する規格が追加されました。通信事業者からレンタルするルーターにこの機能が組み込まれれば、ユーザーが意識しなくても「ネット回線を引いた時点でThreadが使える家」になります。AmazonのeeroなどはすでにThread搭載済みで、この動きが広がると専用ハブ不要でThreadデバイスが使えるようになります。
3つの役割:コントローラー・ブリッジ・ボーダールーター
three distinct roles. Understanding them makes it clear why a HomePod mini (or similar device) is needed.">「ハブ」「ゲートウェイ」という言葉はMatterの世界には存在しません。代わりに3つの明確な役割があります。これを理解すると、「なぜHomePod miniが必要なのか」がすっきり分かります。
例:Apple Homeアプリ・HomePod、Google Homeアプリ・Nest Hub、Alexa・Echo
例:SwitchBotハブ2、Philips Hue ブリッジ
例:HomePod mini、Apple TV 4K、Nest Hub 2nd Gen、IKEA DIRIGERA
🔍 実機で見る役割の兼務
※ iPhone 15 Pro/Pro Max以降はThreadチップ搭載のため、その場にいる間はボーダールーターとしても機能する
登録コードの中身と、登録の手順
箱に付いている登録コードは、手で打つ数字(11桁または21桁)、QRコード、NFCタグの3種類です。中身はどれも同じ「登録に必要な情報のかたまり」で、違うのは詰め込める量。QRコードとNFCタグには全部が入り、11桁には最小限だけが入ります。
ADVANCED登録コードの4つの形と、入っている情報
| 11桁 | 21桁 | QR/NFC | |
|---|---|---|---|
| パスコード(8桁の合言葉) | ○ | ○ | ○ |
| Discriminator(機器を見分ける番号) | 一部(12bit中4bit) | 一部(4bit) | 全部(12bit) |
| メーカーID・製品ID | ✕ | ○ | ○ |
| 登録方法の種類(Custom Flow) | ✕ | ✕(21桁であること自体が合図) | ○ |
| どの方法で見つかるか(BLE・Thread・NFCなど) | ✕ | ✕ | ○ |
頭の1桁で、11桁か21桁か分かる
数字のコードの1桁目が0〜3なら11桁、4〜7なら21桁です。8と9は、将来の形式のために空けてあります。最後の1桁はチェック用の数字(Verhoeffという方式)で、打ち間違いにアプリがその場で気づける仕組みがあります。
QRコードの中身
QRコードを読むと、MT:で始まる文字列が出てきます。MT:の後ろは数字と英大文字の並び(Base38という詰め方)で、上の表の「QR/NFC」の列の情報がすべて入っています。
- 形式の版
- メーカーID・製品ID
- 登録方法の種類(Custom Flow)
- 見つかり方(BLE・家のネットワーク・Wi-Fi・NFC・Thread)
- Discriminator
- パスコード
- 追加情報(任意)
NFCタグの中身
NFCタグに入っているのは、QRコードと同じMT:の文字列です。スマホをかざすと、QRコードを読んだのと同じ情報が渡ります。タグはNFCの標準形式(NDEFのURIレコード)で書かれていて、1件のURIレコードに、省略なしでMT:から始まる文字列がそのまま入っています。
なお、NFCには2つの使い方があり、別物です。
- NFCタグ … 登録コードを読み取るだけ(QRコードの代わり)。Matter 1.4.1から。
- NFC Transport Layer(NTL) … 登録の通信そのものをNFCで行う仕組み。タグの読み取りには使いません。NTLに対応する機器は、スマホ側がNFCでの登録に対応していなくても登録できるよう、QRコードとNFCタグの両方を備え、BLEなど別の登録手段も持つ決まりです。Matter 1.6で加わりました。
Discriminator(機器を見分ける番号)
登録を待っている機器が何台かあるとき、どれがどれかを見分ける12bitの番号です。メーカーは、全製品で同じ値を使ってはいけません。何個かセットで売る機器には、連番で振ることが推奨されています。
21桁は「登録の前に一手間ある」サイン
21桁のコードを持つ機器は、登録の前に何か手順があります。ボタンを押すだけのこともあれば、メーカーのアプリで先に準備が要ることもあります。どちらなのかは、21桁からは読めません。アプリがメーカーIDと製品IDを使って、CSAの公開台帳(DCL)に手順を問い合わせる仕組みになっています。
登録の手順は、CSAの公開台帳(DCL)に載っている
機器ごとに「登録方法の種類(Custom Flow)」が決まっています。
| 値 | 意味 |
|---|---|
| 0 | 電源を入れるだけ |
| 1 | ボタンを押すなど、機器の操作が要る |
| 2 | メーカーのアプリなど、追加の手順が要る |
具体的な手順は、DCLに登録されています。Matterの仕様も、手順はDCLで確かめるように定めています。
ADVANCEDDCLに載っている登録手順と、数字で見るCustom Flow
DCLが持っている欄
Custom Flow/手順の「型」(電源の入れ直し・リセットボタンの長押しなどを番号で指定)/手順の文章/案内先のURL/取扱説明書・サポートのURL。手順の「型」を番号で持っているので、各社のアプリは自分の言葉で同じ手順を案内できます。
実例(DCLは公開データ)
- LG(Custom Flow=0)
Custom Flow=0の機器でも、電源を入れてから時間が経って登録待ちが終わったときの戻し方がDCLに載っています。LGの例はその手順です。Press the reset button on the product to enter the commissioning standby state. The LED will blink green.
- Aqara Hub M2(Custom Flow=2):Aqara Homeアプリでログイン → ハブと子機をホームに追加 → 「Bind to Matter」で登録モードに → MatterのQRコードを読む
- Hueの案内先URL:
https://account.meethue.com/matter-onboarding?vid=100B&pid=0003&MTop=_&MTcu=_
メーカーID(vid)と製品ID(pid)が、そのままURLに入っています。
数字で見るCustom Flow(2026年10月時点)
DCLに登録されたモデルのうち(メーカーの申告ベース):
| Custom Flow | 割合 |
|---|---|
| 0(電源を入れるだけ) | 96.0% |
| 1(機器の操作が要る) | 2.6% |
| 2(追加の手順が要る) | 1.5% |
2の機器は、スマートロック(Yale・Kwikset・Fortune Brands・LOCKINなど)とハブ(Hue・Aqara・SONOFFなど)に集中しています。鍵はメーカー側の本人確認を通したい、ハブは子機を先に登録しないとMatter側に出せない、といった機器の性質から来ていると考えられます。手抜きや囲い込みとは限りません。
Custom Flowが表すのは、「Matterに登録するときに一手間が要るか」だけです。買った機能がMatterで全部使えるかどうかは、何も表していません。メーカーのアプリが要る理由は、少なくとも3つあります。
- 登録の前の手順(=Custom Flowが1か2)
- Matterの対象外の機能(メーカー独自の機能・ファームウェアの更新など)
- つなぎ方の相性(Thread・Wi-Fi・ハブ)
マルチアドミンとFabric登録の上限
Matterのいちばん革命的な機能。同じデバイスをApple HomeでもGoogle Homeでも同時に使えるのはなぜか? そして、便利なマルチアドミンにも「上限」という現実の壁があります。
😓 Matter以前
メーカーはApple・Google・Amazonそれぞれに個別開発・個別認証が必要。ユーザーはプラットフォームごとに別アカウント・別設定が必要で、微妙な機能差に悩まされていた。
✨ Matter以後
1回の開発で全主要プラットフォームに対応。ユーザーは好きなアプリで同じデバイスを操作でき、家族が別アプリを使っても問題ない。
Fabric(ファブリック)とは?
Fabric. Apple Home and Google Home are each an independent Fabric.">Matterでは「誰が・どのデバイスを・どのコントローラーで管理するか」という信頼グループをFabric(ファブリック)と呼びます。Apple HomeもGoogle Homeもそれぞれ独立したFabricです。
⚠️ Fabric登録数には上限がある
「マルチアドミンで何個でも登録できる」は正確ではありません。各デバイスには SupportedFabrics(登録可能なFabric数の上限)という値が設定されており、これを超える登録はできません。
Home
Pod
| 仕様上の属性名 | 意味 | 仕様上の範囲 |
|---|---|---|
SupportedFabrics | このデバイスが登録を受け付けられるFabricの最大数。製品ごとに固定値。 | 最低5〜最大254 |
CommissionedFabrics | 現在登録済みのFabric数。上限を超えると新規登録が拒否される。 | 0〜SupportedFabricsの値 |
🔢 2つ目のアプリに追加するときのコード
Apple HomeやGoogle Homeで「他のアプリと共有」などを押すと出る数字は、箱のコードではありません。登録済みのアプリが、その場で作った使い捨ての合言葉です。この合言葉で登録できる窓は、最大15分で閉じます。Matterが登録の窓を15分にしているのは、無駄な電波を出し続けないためと、電源を入れてからアプリをダウンロード・インストールして起動し、家の中を移動する時間を見込んだためです。
Matterの仕様は、一時コードをQRコードでも出すことを推奨しています(必須ではありません)。筆者が2026年10月にApple Home・Google Home・Alexaで試したところ、3つとも11桁の数字だけで、QRコードは出ませんでした。理由は公表されていません。数字なら口頭や音声でも伝えられる、という利点は考えられます。
しくみと安全性は → セキュリティページ「2つ目のアプリに追加するとき」
よくある質問
Matterを実際に使い始めるときに出やすい疑問をまとめました。
↑ Contents🌐 Matterが描くスマートホームの未来
「このメーカーの機器はあのアプリでしか使えない」——そんな壁はなくなります。
Matter対応であれば、どのメーカーの機器でも同じアプリで管理でき、音声アシスタントにも対応し、ローカルで安定して動く——それがMatterが目指す世界です。
📄 参照仕様書:Matter Specification v1.5(CSA)
解説ページ作成:Matter辞書 by ライフテックコーディネーター 織田未来